マイニング5年間の収支を全公開|総投資2,353万円・マイナス1,120万円の全記録

目次

リード文

マイニングで儲かった話は、ネットにいくらでもあります。

でも、「トータルでいくら投資して、最終的にいくら残ったか」を全て公開している記事は、ほぼ皆無です。 なぜか? 大半の人が赤字だからです。そして赤字を公開する勇気がないから。

この記事は違います。

2017年8月から2022年9月まで、5年1ヶ月間マイニングを運用した私が、総投資額2,353万円・GPU56台・ASIC5台の全データと最終収支を公開します。

先に結果だけ言います。

最終収支: マイナス1,120万円。

「なぜそんな赤字の話を公開するのか」と思うかもしれません。理由は明確です。この赤字の中身にこそ、マイニングの真実と、これから始める人への最も誠実なアドバイスが詰まっているからです。


目次(自動生成)


1. 全体像|5年間のマイニング概要

項目 内容
期間 2017年8月〜2022年9月(5年1ヶ月)
総投資額(機材+電気代等) 23,525,716円
最終収支 マイナス約1,120万円
使用機材 ASIC 5台 + GPU 56台
マイニング対象 16通貨(BTC, MONA, RVN, GRIN他)
最盛期の月間電気代 約15万円
月間収益ピーク 2021年 約24万円
管理ソフト Awesome Miner / NiceHash

一個人がここまでの規模で実運用し、かつ全データを公開しているケースは、日本のWeb上でほぼ存在しません。


2. 機材一覧|ASIC 5台・GPU 56台の全リスト

ASIC(延べ5台)

機種 メーカー 台数 対象通貨 特徴
Antminer D3 BITMAIN 1台 Dash(X11) 初期ASIC、騒音が凄まじい
Antminer S9 BITMAIN 2台 BTC(SHA-256) マイニング界の名機、効率◎
Antminer L3+ BITMAIN 1台 LTC(Scrypt) Litecoin専用ASIC
Antminer A3 BITMAIN 1台 SC(Blake2b) Siacoin用、短命だった

GPU(延べ56台)

GPU 世代 台数 備考
GeForce GTX 1060 Pascal 6台 エントリー機、電力効率○
GeForce GTX 1070 Pascal 6台 バランス型
GeForce GTX 1070 Ti Pascal 6台 1070の強化版
GeForce GTX 1080 Pascal 5台 ハイエンド
GeForce GTX 1080 Ti Pascal 27台 主力中の主力。最多投入
GeForce RTX 3080 Ampere 5台 次世代移行組
GeForce RTX 3090 Ampere 1台 最上位、電力食い

GTX 1080 Tiが27台。これは私のマイニング戦略の中核でした。Pascal世代で最もハッシュレート/電力比が優秀で、中古市場でも値崩れが少なく、撤退時のリセールバリューを維持しやすいという判断からの集中投入です。


3. マイニング対象|16通貨の遍歴

5年間で掘った通貨は以下の16種類です。

BTC, MONA, SC, KOTO, NEET, JAGA, AGNI, RYO, LAX, XWP, PGN, GIN, GRIN, RVN, BEAM, VEIL

運用方針

固定通貨を掘り続けるのではなく、Awesome MinerとNiceHashを併用し、その時の利益率が最も高い通貨を自動選定するスタイルでした。

  • Awesome Miner: 複数アルゴリズム対応のマイニングマネージャー。リグ管理・利益率自動切替に強い
  • NiceHash: ハッシュパワーを販売する仕組み。深く考えずとも最も利益の出る通貨を自動で選んでくれる

通貨選定の変遷

時期 主に掘った通貨 理由
2017〜2018年初 BTC, MONA BTC直掘り + 国産通貨MONAの高騰期
2018年 SC, KOTO等のマイナー通貨 BTC価格暴落で主要通貨のマイニング採算悪化
2019〜2020年 NiceHash中心 冬の時代、自動選定で効率化
2021年 RVN, GRIN, BEAM等 アルトブームで再び採算向上
2022年 NiceHash中心 → 撤退 採算トントン、撤退判断

4. 収支の推移|年別の現実

年別収支感覚

状況 月間収益ピーク 電気代
2017年 立ち上げ、初期投資大 低(設備投入期) 数万円
2018年 最初の収益期 月約16万円 月10〜15万円
2019年 冬の時代、辛抱の年 数万円 月10万円前後
2020年 回復の兆し 月10万円台 月12万円前後
2021年 最大収益期 月約24万円 月約15万円
2022年 採算トントン→撤退 数万円 月12万円前後

赤字の構造

「毎月の収益はプラスだった時期もある。でもトータルで赤字」 — これがマイニングの罠です。

赤字の内訳を構造化すると:

  1. 初期機材投資: GPU56台 + ASIC5台 → 約1,500万円以上
  2. 5年間の累計電気代: 月平均10〜15万円 × 61ヶ月 → 約700〜900万円
  3. 累計マイニング収益(売却時価格): 約1,200万円前後
  4. 機材売却収入: 撤退時のGPU・ASIC売却益

投資額(機材+電気代)が収益(マイニング+売却)を約1,120万円上回ったのが最終結果です。


5. なぜ赤字になったのか|3つの構造的要因

要因①: 機材の減価償却が想定以上

GPUは購入時が最も高く、年々性能対比で価値が落ちる。特にPascal世代(GTX 10xx系)からAmpere世代(RTX 30xx系)への世代交代で、旧世代の効率が一気に見劣りしました。

要因②: 電気代は相場に関係なく発生し続ける

マイニング収益は相場連動で上下するが、電気代は24時間365日固定発生。2018〜2019年の暴落期でも電気代は月10〜15万円かかり続けました。これが「掘れば掘るほど赤字が膨らむ」期間を生みます。

要因③: 掘った通貨を保持し続けなかった

これが最大の後悔です。 電気代の支払いのため、掘った暗号資産をその時の相場で売却してきました。もし売らずに保持し続けていたら、後の価格上昇で大爆益だった可能性が高い。

例えば2019年に1BTC=40万円で売った分を、2024年に1,000万円超で売れていたら——。

マイニングの真の最適戦略は「掘って売らずに持つ」だったと、撤退後に痛感しました。


6. やって良かったこと|赤字1,120万円でも得たもの

数字だけ見れば大失敗です。しかしこの5年間で得たものは、金銭では測れない価値がありました。

① 個人事業主としての経営・税務の実地教育

マイニングをきっかけに個人事業主として開業届を提出。確定申告、減価償却、経費計算、事業計画——これらを「自分のお金」で学んだ経験は、どのビジネス書にも代えがたいものでした。

② ハードウェアの深い理解

GPU56台の組み立て・セッティング・温度管理・トラブルシューティングを自力で行ったことで、コンピュータハードウェアへの理解が飛躍的に深まりました

③ 暗号資産の「現場感覚」

取引所で売買するだけでは分からない、ブロックチェーンの内側に触れる体験。ハッシュレート、Difficulty調整、マイニングプール——これらを肌で理解できたことは、投資判断にも大きく活きています。

④ 「退場しない力」の修得

1,120万円の赤字を抱えても市場に居続けている。致命傷を負わない設計で5年間走り切った経験は、その後の投資スタンスの土台になっています。


7. もう一度やるなら|5年を踏まえた最適戦略

もし2017年にタイムスリップしてやり直せるなら:

変更点①: ASICは買わない

騒音が凄まじい(家庭環境での運用に向かない)。GPUに集中投資した方が、通貨の切り替え柔軟性が高く、かつ撤退時のリセールバリューが安定します。

変更点②: 掘った暗号資産は絶対に売らない

電気代は別の収入源(給与等)で払う設計にし、マイニング報酬は全額ガチホ。これだけで最終収支はおそらくプラスに転じていました。

変更点③: 規模を半分にして、残り半分は現物購入

2,353万円の半分(約1,200万円)で現物BTC/ETHを購入していれば——。マイニングの「体験価値」は半分の規模でも十分得られたはずです。


8. よくある質問

Q1. マイニングは儲かりますか?
A. 構造的に、個人が電気代込みで黒字を出すのは年々難しくなっています。2026年時点で新規参入を収益目的で推奨はしません。

Q2. 1,120万円の赤字は痛くなかったですか?
A. 正直に言えば痛いです。ただし、個人事業主としての学び・ハードウェアの理解・投資の現場感覚——これらを「授業料」と考えれば、1,120万円で5年間のビジネススクールに通ったようなものです。

Q3. GPU56台の電気代は?月15万円で済むのですか?
A. 常時全台フル稼働ではなく、採算性に応じて稼働台数を調整していました。夏場は温度管理で稼働数を減らすなど。

Q4. なぜGTX 1080 Tiが27台も?
A. Pascal世代で最もハッシュレート/電力比が優秀で、かつ中古リセール価格が安定していたためです。結果的にこの判断は撤退時のリセールで効きました。

Q5. 掘った16通貨の中で一番良かったのは?
A. 結果論ではBTCです。掘った当時の価格は低くても、保持し続けていれば桁違いのリターンになっていました。


9. まとめ|2,353万円投資・1,120万円赤字の先に得たもの

「マイニングは儲かるか?」への私の答え:

数字だけなら、No。
経験を含めれば、かけがえのない投資だった。

  • 2,353万円の投資、61台の機材、16通貨、5年間
  • 最終収支はマイナス1,120万円
  • しかし個人事業主の経営基礎、ハードウェアの深い理解、暗号資産の現場感覚を得た
  • 売らずに持てば大爆益だったという最大の教訓も得た

この記事が、マイニングに興味を持つ全ての人にとって、「やる前に読んでおくべき教科書」になれば本望です。

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