草コインを16種類マイニングした記録【MONA・GRIN・RVN…全遍歴公開】|5年間・GPU56台の実話

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リード文

「草コインのマイニングって実際どうなの?儲かるの?」

この問いに答えられる日本語の一次情報は、ほとんど存在しません。理由は単純で、実際に草コインを本格的に掘った人が少なく、掘った人はわざわざ記録を公開しないからです。

私は2017年8月から2022年9月までの約5年間、GPU56台・ASIC5台の計61台でマイニング事業を運営し、総投資2,353万円・最終収支マイナス1,120万円という結果に終わりました。その5年間で掘った通貨は、ビットコインからMONA、GRIN、RVN、さらには名前を聞いたこともないような超マイナー通貨まで、合計16種類にのぼります。

この記事は、その16通貨の全遍歴の記録です。何を掘り、なぜその通貨だったのか、そして掘った通貨たちが今どうなっているのか。成功談ではなく、1,120万円の授業料を払った人間の記録として読んでください。


目次(自動生成)


1. なぜ16種類も掘ったのか|「選んだ」のではなく「選ばれた」

最初に種明かしをすると、私は16通貨を「これは将来性がある」と分析して選んだわけではありません。

私のマイニングリグは、Awesome MinerとNiceHashという管理ソフトで、「その瞬間に最も収益性の高い通貨」を自動選定して掘り替える運用をしていました。GPUマイニングの世界では、通貨ごとの価格変動と採掘難易度(Difficulty)の変動によって、「今日一番おいしい通貨」が毎日のように入れ替わります。それを人力で追うのは不可能なので、ソフトに任せるのが定石でした。

つまり16通貨という数字は、5年間の相場とDifficultyの変動を、61台の機材が自動でなぞった軌跡です。草コインマイニングの実態は、ロマンではなく「収益性追求の結果としての雑食」だった。これが現場の正直な姿です。

補足すると、2つのソフトの役割は少し異なります。Awesome Minerは自分のリグ群を一元管理し、収益性の高い通貨・プールに掘り替えるための管理ツール。NiceHashは自分のハッシュパワー(計算力)を市場で売り、対価をBTCで受け取る仕組みです。つまり後者を使っている間は、「何の通貨を掘るか」は買い手側の都合で決まり、こちらは意識すらしません。「草コインを掘っていたのに、報酬はBTCで受け取っていた」という一見ねじれた状態が成立するのが、この世界の面白いところです。


2. 掘った16通貨の全リスト

5年間で採掘した通貨の全リストです。

分類 通貨
主要通貨 BTC
日本発コミュニティ系 MONA, KOTO, NEET, JAGA
GPUマイナー定番 RVN, SC, GRIN, BEAM
超ニッチ系 AGNI, RYO, LAX, XWP, PGN, GIN, VEIL

ASIC(Antminer S9等)ではBTCを、GPU56台では残りのアルトコイン群を掘っていました。以下、グループごとに振り返ります。


2-2. 5年間の遍歴を時系列で

グループ別の話に入る前に、5年間の流れを整理しておきます。

時期 何をしていたか
2017年 Antminer D3を皮切りにASIC・GPUを一気に導入。強気相場の熱狂期
2018年 GPUを増設し月次収益は約16万円のピークへ。しかし年明けからの大暴落で採算が急速に悪化
2018〜2019年 冬の時代。掘れば掘るほど赤字。GRIN・BEAMなど新チェーンに活路を探す
2020〜2021年 相場回復とともに収益も復活。RTX 3080等を追加し月次約24万円の再ピーク
2022年9月 電気代と収益がトントン状態が続き撤退。最終収支マイナス1,120万円

こうして表にすると分かる通り、収益がまともに出ていたのは5年のうち好況の2つの山の期間だけです。その間も最盛期の電気代は月平均15万円で走り続けていました。草コインの銘柄選びの巧拙など、この大きな波の前ではほとんど誤差だった——それが時系列を振り返ったときの率直な感想です。


3. グループ別の遍歴と現在

3-1. BTC|ASIC部隊の主戦場

Antminer S9などのASIC5台で掘っていた本命です。ASICはGPUと違って掘れる通貨がほぼ固定なので、浮気の余地がありません。BTCマイニングの収支詳細は機材・電気代込みで別記事にまとめていますが、一言で言えば「Difficultyの上昇は、いつも価格上昇より速かった」。これがASIC組の実感です。

余談ですが、ASICの騒音は住環境を破壊するレベルです。もう一度やるなら、私はASICを買わずGPUに集中します。

3-2. MONA・KOTO・NEET・JAGA|日本発コミュニティコインの世界

MONA(モナコイン)は、日本のネットコミュニティから生まれた通貨として、国内マイナーには特別な存在でした。2017年当時は国内取引所にも上場しており、「掘ってすぐ日本円にできる草コイン」という意味で貴重な存在でした。

KOTO・NEET・JAGAは、さらにマイナーな日本発の草コインです。正直に言うと、これらは思想や将来性で掘ったというより、「Difficultyが低く、機材を向ければ枚数が稼げた」から掘っていました。掘った枚数は多くても、売る場所と買い手がなければ収益にはなりません。この「枚数は増えるが換金できない」感覚は、草コインマイニングを経験した人にしか分からない独特のむなしさがあります。

現在、この種の超マイナー通貨の多くは、取引できる場所を探すことすら困難です。

それでも日本発コミュニティコインを掘っていた時期のことは、良い思い出として残っています。掘った通貨の名前を検索すると、開発者やコミュニティの掲示板が生きていて、自分のハッシュレートがそのネットワークの一部になっている。収益ではなく「参加している感覚」が確かにあった。草コインマイニングの魅力を一つ挙げるなら、私はこれを挙げます。

3-3. RVN・SC・GRIN・BEAM|GPUマイナーの定番どころ

RVN(Ravencoin)は、GPUマイニングの世界では定番中の定番でした。ASIC耐性を掲げたアルゴリズムでGPU勢の受け皿となり、私のリグでも自動選定の常連でした。

SC(Siacoin)は分散型ストレージ系のプロジェクトで、一時期は収益性ランキングの上位に顔を出す存在でした。

GRINとBEAMは、2019年に話題になったMimblewimbleという新技術を実装した通貨ペアです。「新しいチェーンはDifficultyが低いうちに掘ると先行者利益がある」という定石に従って、ローンチ期に多くのGPUマイナーが殺到しました。私もその一人です。新チェーンの立ち上げに自分のハッシュレートを供給する経験は、投資というよりインフラ参加の感覚で、マイニングをやって良かったと思える体験の一つでした。

3-4. AGNI・RYO・LAX・XWP・PGN・GIN・VEIL|「名前も残らない」超ニッチ組

このグループは、おそらく読者のほぼ全員が聞いたことのない通貨たちでしょう。収益性の自動選定に従った結果、数日〜数週間だけ掘っていた通貨も含まれます。

これらの多くは、開発停止・コミュニティ消滅・取引所の上場廃止などで、事実上市場から姿を消しています。「掘っていた通貨が消滅する」のは草コインマイニングでは日常です。ウォレットに残った無価値の枚数は、デジタルな貝殻のようなもの。5年間の記念品だと思っています。


4. 草コインマイニングの収益実態|数字で見る現実

「で、結局儲かったの?」に数字で答えます。

  • 総投資額: 2,353万円(機材・電気代等の累計)
  • 収益ピーク: 2018年に月次約16万円、2021年に月次約24万円
  • 最盛期の電気代: 月平均15万円
  • 最終収支: マイナス1,120万円(2022年9月撤退時点)

ここで注目してほしいのは、ピークの月16万円・24万円という数字です。61台体制でこの水準ということは、ブームの好況期ですら、機材投資の回収には何年もかかる計算だったということです。そして好況は続かず、電気代は毎月確実に出ていきます。

草コインだから爆益、という夢は現場にはありませんでした。収益性の自動選定は「その日最もマシな通貨」を選んでくれるだけで、マイニング全体の採算が悪化すれば、何を掘っても赤字です。晩年は電気代と収益がトントンの状態が続き、2022年9月に撤退を決めました。撤退判断の詳細は別記事に書いています。


5. 「掘って売らずに持つ」戦略は正しかったのか

マイニング界隈には昔から「掘った通貨は売らずに持て(ガチホしろ)」という格言があります。16通貨を掘った経験から、この格言を検証します。

5-1. BTCなど主要通貨には当てはまった

私の5年間の最大の後悔は、掘って得た暗号資産の多くを、電気代と機材代の支払いのために売ってしまったことです。もし掘ったBTCをそのまま持ち続けられていたら、後の相場で収支は大きく変わっていたはずです。「機材に投資して掘って売る」より「同じ金額でBTCを買って持つ」方が良かった——これは今でも本気でそう思います。

5-2. 草コインには当てはまらなかった

一方で、超ニッチ組の草コインは持ち続けた結果、多くがゼロになりました。「売らずに持て」の格言は、生き残る通貨にだけ有効な生存者バイアスです。

つまり結論はこうなります。「何を掘るか」より「何で持つか」。掘った草コインをそのまま持つのではなく、主要通貨に換えて持つ。これが16通貨の遍歴から得た、最も実用的な教訓です。


6. これから草コインマイニングをやりたい人へ

2026年の今、あえて草コインマイニングを始めたい人に、経験者として伝えたいことは3つです。

  1. 事業としては勧めない。2,353万円を投じた私の最終収支はマイナス1,120万円です。収益目的なら、同じ資金で主要通貨を買って持つ方が合理的というのが私の結論です
  2. 趣味・学習としてなら価値がある。ブロックチェーンの仕組み、ウォレット管理、電気代の計算、税務処理まで、身銭を切って学べることは多い。やるならGPU1〜2台の範囲で
  3. 掘った草コインは早めに主要通貨へ。第5章の教訓の通りです。換金手段があるうちに換えておかないと、デジタルな貝殻が増えるだけです

なお、マイニング収入は少額でも課税対象です。始める前に税金の基本だけは押さえておいてください。


6-2. 草コインマイニング固有の苦労|誰も教えてくれない実務

最後に、16通貨を掘った人間にしか語れない「地味な苦労」を記録しておきます。これから試す人は覚悟しておいてください。

① ウォレット管理が通貨の数だけ増える
草コインは取引所に送れないことも多く、通貨ごとに公式ウォレットを導入することになります。ウォレットの数だけバックアップと秘密鍵の管理が増え、PCの環境も汚れていきます。管理をさぼった通貨から順に「どこに何があるか分からない」状態になります。

② マイニングプール選びも通貨ごとに必要
マイナー通貨はプールの選択肢が少なく、プール自体が突然閉鎖されることもあります。閉鎖前に未払い残高を引き出せるか、という草コイン特有のレースも経験しました。

③ 換金のタイミングは「上場廃止」との競争
草コインの出口は細く、取扱いのある取引所が上場廃止を発表したら、実質そこが換金の最終期限です。「いつか上がったら売ろう」と寝かせているうちに、売る場所自体が消える。これが草コインの現実です。


6-3. よくある質問

Q1. 2026年の今から草コインマイニングは儲かりますか?
A. 事業として儲けるのは極めて難しいというのが、2,353万円を投じた私の結論です。電気代・機材代・税務の手間まで含めて考えれば、同じ資金で主要通貨を買って持つほうが合理的です。

Q2. 掘った草コインの税金はどうなりますか?
A. 採掘で取得した時点の時価で収入計上するのが原則です。無価値になった場合の扱いも含めて論点が多いので、本格的にやるなら税理士への相談を勧めます。

Q3. 16通貨で一番印象に残っているのは?
A. GRINです。ローンチ直後の新しいチェーンに自分のハッシュレートを供給する経験は、収支とは別の次元で面白かった。ただし収益で報われたかと言えば、答えはこの記事の通りです。


7. まとめ|16通貨の遍歴が教えてくれたこと

  • 16通貨は「選んだ」のではなく、収益性の自動選定が選んだ結果だった
  • 草コインは「枚数は稼げるが換金できない」。多くは消滅した
  • ピーク月24万円でも、総投資2,353万円は回収できなかった
  • 最大の教訓は「何を掘るかより、何で持つか」

草コインマイニングの5年間は、収支だけ見れば大失敗です。それでも、新しいチェーンの立ち上げにハッシュレートを供給し、無名の通貨たちの栄枯盛衰を最前列で見たあの日々は、この市場を理解するうえで何物にも代えがたい経験でした。

私と同じ授業料を払う必要はありません。 この記録が、これから判断するあなたの材料になれば十分です。


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